2020年02月14日

ソ連解体は「偽装解体」「計画倒産」である。中共、北朝鮮が崩壊しない理由。


西側諸国(日本・韓国にのみならずアメリカや西ヨーロッパ)も、国防における致命的な勘違いをしている。
つぎのようなイリュージョンだ。

「ソ連は、ゴルバチョフの民主化により、自由ロシアに生まれ変わった。」

「中国共産党の独裁体制はやがて崩壊する。社会主義という狂った幻想を捨て、日本のような議会制民主主義国家になるだろう。」

「中国の共産党王朝は2020年代に崩壊し、香港、チベット、ウイグル、上海、満州、内モンゴル(南モンゴル)なども分離独立するだろう。」

「中国共産党は汚職で腐敗していて、機能不全。軍部とも対立している。やがてクーデターが起きて5つか6っつに分裂する」

「ロシアと中国は対立している。中国の覇権に対抗するために親日国のロシアと組むべきだ。」




これはロシアKGBや中国の統一戦線部が流しているデマゴーグである。
西側に対して向けられたシュガー・プロパガンダ(自分たちに耳障りのよい宣伝広告)である。

これはロシアを見れば明らかである。プーチンを象徴としていただく、KGB官僚達はロシアはソ連時代と全く変わらない独裁政権である。
マスコミは一部しか政権を批判しないし。野党勢力は水面下で選挙で不利になるようにされている。


ソビエト連邦とロシア連邦は、「共産主義」というインチキ宗教の看板を下ろしただけで、ほぼ同じである。
モスクワには今も「レーニンの古墳」があり、ロシアの核戦力はソ連時代より強化されている。

また、ロシアと中国は軍事同盟(※日本海や沿海州で合同軍事演習も!)を結んでいる。
中国軍・北朝鮮軍の兵器のほとんどはロシア製である。


※中ソ対立、中ソ国境紛争も西側をだますための騙しである。反ソ連だから中国はマシという騙しである。
実際に、田中角栄の時代「親日中国」「日中友好」「反ソの中国」という幻想が日本中に蔓延した。



・ソ連は解体したが消滅していない!!ゴルバチョフはソビエト帝国延命のために「ステルスなソ連」を作った。


1980年代、レーガン政権の核ミサイル増強、空母機動部隊増強、さらに西側諸国の軍拡により、
ソ連は危機に陥った。


度の超えた軍拡で経済は疲弊、技術力も衛生環境もおおきく西側に遅れてしまった。
社会主義経済では、粗悪なものしか作れず、品質はおおきく日本に遅れてしまった。

さらにチェルノブイリ原発事故(実際には核兵器工場!!)で、ソ連の核コントロール能力は低いと露呈してしまった。

アフガニスタン戦争でも、アフガン人民民主党を作りステルス侵略したが、イスラム教のゲリラにより苦戦した。

このままでは軍事力で西側に勝てないと思ったKGB官僚と中国の支配層は、
「西側を騙し、ソ連は弱くなったと思いこませて、敵に軍縮させる」というアクロバティック演劇を行った。

それが、64天安門事件でありソ連崩壊である。

あたかも「ソ連や中国でも民主化運動が起きて、もはや我々のような自由主義陣営と変わらなくなっている」という
イリュージョンを敵国(西側・米英陣営)に植え付けるのが目的だった。


西側騙しのために、ゲッベルスのような一流の雄弁家に、ゴルバチョフが選ばれた。
ペレストロイカ、グラチノスという「民主化演技」を行ったことで有名である。

「ソ連崩壊」もその西側騙しの一環である。



・ゴルバチョフは「ソビエト連邦」を「大ユーラシア連合」に改造するのが目的

ゴルバチョフは、反体制派の容認、複数政党制の導入と大統領制の導入、
さらに国名を「ソビエト『主権共和国』連邦」に改造することで西側を騙そうとした。

しかし、それだけでは西側を騙しきれない可能性があったのと、
バルバロッサ作戦のように「西方からの軍勢を、ロシアの奥地に引きずり込む」という戦略(後退戦術)をとった。
ゴルバチョフは東ドイツ・ポーランド・ルーマニア等中央ヨーロッパ諸国・バルト三国を西側に返還した。

その後、「NATOの東方拡大」を想定して、上海協力機構(イランも加盟)、独立国家共同体(トルキスタン諸国加盟)、
集団安全保障条約(カザフスタン加盟)
を発足した。
(※プーチンはNATOの東方拡大は裏切りだと言っているがそんなのは想定済みである)

東ヨーロッパを西ヨーロッパに返還する代わりに、さらに巨大な「大ユーラシア連合」をゴルバチョフ政権は作ろうとしたのだ。

ロシア(ソ連)と中国は「資本主義の導入」「西側との経済交流」により軍事力の近代化を図った。
これは大成功した。日本やアメリカの優れた技術はまんまと中露に提供されて、中露の近代化に成功した。

韓国と北朝鮮の「太陽政策」も同じである。韓国は北朝鮮系の民族派左翼(反米・反日・反韓のロシア工作員)に占領されている。
北朝鮮は韓国や日本からの支援により核武装も完成させた。(もちろんロシアの核技術が大きいが)


上海協力機構まp1.jpg


・日本やアメリカは、90年代からずっとソ連と中国の「民主化プロパガンダ」に騙されている!


1989年、社会主義中国に北京市で、学生デモ隊や民主化活動家(=中には本物もいるが大半は中共のエキストラ要員!)
が民兵や中国軍兵士に弾圧された。
これについて当時は、「1000人以上が戦車でひき殺された」とか「5000人以上が解放軍に撃たれて死んだ」とかセンセーショナルに報道されていた。
中国政府は国際社会から非難されて、経済制裁により全世界から孤立した。

しかし待ってほしい。
天安門広場で反政府勢力と共産党軍で殺し合いが起きていたのに、他の中国の都市ではほとんどそんな大規模な抗議行動は起きなかった。(もちろん、天安門事件に触発された少数の民主党派グループの反乱はあっただろうが)

どうして白昼堂々の天安門広場でのみ数万人の市民が集まって抗議活動になったのか?
しかも、中国は社会主義独裁体制であり、秘密警察と民兵による鉄の監視体制、相互監視により世論や言論の自由など存在しない。
中国共産党は、ずっと今までもマルクス・エンゲルスの唯物史観・階級闘争史観で自国民を洗脳してきたし、
反体制派を容赦なく、「反革命」「資本主義者」「日本とアメリカのスパイ」として逮捕してきた。

言論の自由も個人の自由もない共産中国で、なぜあれだけの抗議行動が起きたのだろうか。
さらに、その数年後に、「東欧革命」が起きて、多くの社会主義国が崩壊した。

これは「偶然」にしてはあまりにも出来すぎている。
ここから推測するもっとも可能性が高い私の見解は以下である。

中国の天安門事件をはじめとする「大陸の民主化のきざし」「中国の春」も「ソ連の春」「民主化による社会主義帝国の崩壊」
は、KGB側がシナリオを書いて実行した「大演技」である。


鄧小平や胡耀邦(こようほう)は最初はわざと「学生達の自主を尊重する」と称して民主化運動を意図的に容認していたのである。
そして、いわゆる「民主化勢力」の中には共産党の意図を受けてわざと潜伏していた人も大勢いたのである。
(※社会主義国では官製デモのために偽装市民の部隊が存在する)
それで、反体制派をいぶりだして後で一気に弾圧するのが目的なのと、

「中国の青年達は自由を求めている」「中国は、まともな国(自由主義陣営)になろうとしている」、
「やがて中国の共産党体制は崩壊して、自由と民主の国に成る」という幻想を西側に植え付けるのが目的である。
さらに、「ゴルバチョフのソ連解体」を真実味を持たせるためのデモンストレーション(お膳立て)でもある。

その後、90年代の中国で「言論の自由」があたかもあるように見えたのも中共が意図的に放っておいたのである。


・ゴルバチョフ政権が「民主化」を弾圧しなかった本当の理由

ゴルバチョフは複数政党制を導入すると言って、「民主的選挙」をバルト三国やポーランドなどで実行した。
すると、たちまち反ソ連政党が勝利して、多くの市民が反共産党デモ・暴動に走った。
ベルリンの壁も崩壊した。

この時、ゴルバチョフはソ連軍や人民警察を出動させて弾圧しなかった。
しかし、本来ならハンガリー動乱やチェコ動乱のときのように、「共産党政権を守る」と称して戦車師団を進軍させればよかったのである。

しかし、ゴルバチョフは反共産党暴動の暴民や、民主化活動家らを逮捕も弾圧もしなかった。

ゴルバチョフは慈悲深(じひぶか)く、優しさに満ちた人なのだろうか???
そんなことは無い。ゴルバチョフは「共産主義の教皇」としてソ連共産党書記長、ソ連大統領として君臨してきた。
ダースベイダーが改心して息子ルークを助けるような展開は実際には起きない。
計画倒産として「市民の力で社会主義帝国のソビエト帝国が崩壊」したように思わせたのである。

ルーマニアではクーデターが起きてサウチェスク一家が殺されたが、クーデターを起こしたルーマニア人民軍は共産党系の軍隊である。
用無しになったサウチェスクをKGBが処分したにすぎない。
ウクライナでも、民主勢力に政権を引き渡す直前にウクライナ共産党は「核兵器を持たない」という致命的な反国防な法律を作った。
(※グレンコ・アンドリー著 プーチン幻想 より)

ロシアKGBは東欧諸国での、CIAや民主化活動家の活動を意図的に容認、、さらには支援してきたのである。
目的は西側騙しと、「ソ連の偽装解体」のためである。

「共産主義の脅威は去った。もう西側と東側の壁は無くなった。」
「ロシアと中国は自由民主国家に生まれ変わろうとしている。」

こんなイリュージョン(幻想)が世界を覆った。これが間違いなのは2020年の現在を見れば明らかである。

ウクライナでは「もうソ連は崩壊したから、ロシアが攻めて来ることは無い」と平和主義が流行しクリミア半島を奪取された。
ウクライナは経済力も軍事力も弱小で、もはやロシアから身を守るには絶望的である。
グルジアのサーカシビリ大統領(もともとはソ連派だった)も、ロシアが攻めて来ることは無い。
と楽観的になり、グルジア戦争で大敗した。(その後、汚職がばれて国外逃亡し、今はポーランドに)



・「北朝鮮の崩壊」「中国の崩壊」もありえない。ロシアの脅威から目をそらす、偽装工作。


ソ連が解体すると、今度は入れ替わるように「北朝鮮の脅威」が叫ばれた。

防衛省や三菱のような武器屋が「ソ連の脅威が去ったので新たな敵づくり」をしたのも事実だろう。
しかし、それは表向きである。
ロシアの脅威(北からの脅威)を、日本国民が忘れて、西からの脅威(中国と北朝鮮)に備えるようにしむける罠である。

安倍晋三総理(=北朝鮮人の共産主義者)は「中国と朝鮮の脅威に対応して、自衛隊を西方に移動させる」という
あるまじき政策をしている。

これでは、北海道と東北地方はロシアに侵攻される。
また中国軍が日本を攻撃するときに、尖閣諸島や沖縄県などに上陸する訳がない。

戦争とは国家が国家を征服するか、自国の利益の為に敵に要求をのませる行為である。
ならば、首都東京や皇室関連の施設が多い京都を狙うはずである。
さらに、軍港のある横須賀や舞鶴もそうである。

自衛隊の九州・沖縄展開のみならず、離島防衛も中国ロシアを利する。
陽動作戦として中国軍が尖閣諸島や宮古島に駐留することはあっても、主力部隊は必ず本州に上陸する。
もし自分が、ロシア軍や中国軍の総司令官で、日本国家を打ち負かそうとしたときに、「無人島」や「離島」をメインに攻撃するなど
ありえないはずだ。



・北朝鮮は崩壊もせず、核武装も成功させた。


話題をもとに戻すと、「中国脅威論」「北朝鮮脅威論」もまたロシアの脅威を忘れさせるミスリードである。

さらに、北朝鮮崩壊論がインチキなのはいまになっては証明されている。

北は核武装も軍の近代化も成功させた。ロシア製の高性能なミサイルも配備している筈だ。
中国も崩壊するきざしもまったくない。

「脱北者」もなかには本当に体制が嫌で逃げたりした人もいるが、北側の情報かく乱のために送り込まれた工作員や、
金王朝に反対しつつも洗脳されてミスリードをしてしまっている人も多い。

2000年代のメディアや書籍のプロパガンダ(宣伝広告)は以下である。

「北朝鮮はもうすぐ崩壊する。北朝鮮は粗悪なものしか作れない。核兵器なんてできっこないし、
 農民が飢えて、路上でバタバタと死んでいる。飢えた農民が死体を食べたり、子供を食べたりして餓鬼地獄そのもの。
 脱北者の証言からしてもそれは明らかである。
 
 また金正日のような金一族も北朝鮮人民から恨まれていて、世界的に孤立している。
 脱北者は毎年1万人以上である。
 中国が、アメリカの北進を恐れて支援しているが、
 北朝鮮のこんな冷酷で既に崩壊した社会が持つわけがない。北朝鮮の金王朝はひとけりで崩壊する。」


だがこの「常識的な予測」は2020年代の今、完全に外れている。
北朝鮮はたしかに一般農民は貧しい。しかし労働党員は貴族のような暮らしをしている。
また人工衛星ロケットや核兵器の開発も成功させた。

また、とある西洋人が北朝鮮に政府当局に内緒でビデオカメラを回したドキュメンタリー映画を見たことがあるが、
たしかに農民の多くは昭和30年代のように貧しかったが、
「飢えて死んだ、死体が田畑にゴロゴロ転がっている」とかそんなのは無かった。

「みんなガイコツみたいに痩せこけている」
「多くの孤児が白昼堂々と死肉や子供を食べている」
などとは程遠い世界である。

それどころか、田んぼや畑には稲や野菜がわんさかと実っていた。

もちろん、その地区はポチョムキン村(外国人向けの豊かな村)やハリボテのスタジオ村ではない。
外国人ジャーナリストが極秘に盗撮した村である。

北朝鮮では本当は食料自給率はほぼ100%に近いのだ。
ただ、労働党当局は「社会主義のために再配布する」という名目で食料を取り上げるのだ。
そうやって農民を貧乏にすることで「人民が外国に逃走しないように」しているのだ。
また軍人や党員になるしか豊かになる方法がないから、人民は労働党独裁を支持するしかないのだ。

軍部や党員は、農民から取り上げた食料を闇市で売って儲けられるから社会主義体制で自分が得をしているとおもって、
ますます共和国を支持する。


・「党と軍の対立」もマルクス・レーニン主義体制ではありえない

日本人は社会主義体制を分かっていない。
学校の教科書でも、マスコミの報道でも社会主義体制、マルクスレーニン主義がなんなのか具体的に分析しないからだ。
もちろん、日本共産党員がマスコミや文科省にも多い。
だから、中国に対しても「軍部と党が対立している」という馬鹿馬鹿しい嘘を信じてしまう。
(※あるワイドショーで北朝鮮に対する解説でも同じのを見たことがある)

共産党国家では、党・軍・国(行政)の順に権力があり、東・軍・国は三位一体である。
(党>軍>国が社会主義体制の基本である)

人民軍とは共産党軍であり、軍の高級将校はすべて共産党員である。
共産党の政治局の決定が、憲法より上なのだ。

(なお、日本共産党の日本人民共和国憲法も、党が公務員を監視すると明記されている)

反中派に偽装した中国ウォッチャーらは、
「習近平は人民解放軍を掌握しきれていない」という都市伝説にひとしいありえないデマゴーグを流している。
そもそも、中共からしたら習近平の代わりの政治局員などいくらでもいる。
クーデターや暗殺が起きてもそれが独裁体制の崩壊にはなりえない。

このような「自国を実物より弱く見せる」とは孫氏の兵法の基本である。
社会主義体制とは個人の自由も、言論の自由も存在しない世界である。
なので、政府が意図した「体制による反体制運動」しか起きない。

石平や黄文雄、李登輝や周平など「中国の崩壊は近い」と主張する論者は隠れたマルクスレーニン主義者である。
ダライ・ラマやウイグル会議のラビア・カーデルも「元共産党員」だった過去の経歴がものがたるように、
実は少数民族の分離独立に偽装して、少数民族を永遠に独立させないのが目的なのだ。
(ダライ・ラマやラビアは国家独立を正式に要求していない。)

「我々が、反体制派をコントロールする最善の方法は、我々が反体制派運動を指導することである」
by レーニン


共産主義、マルクスとエンゲルスの世界、社会主義体制とは、
「嘘に始まり、嘘に終わる」「朝も嘘、昼も嘘、夜も嘘」「ずっと嘘のつき続け」
という、虚構を真実に偽装し続ける謀略の世界である。

ロシアや中国、北朝鮮を批判しているからといってその人は保守主義者とは限らない。

とくに民族派右翼はロシアの偽装工作員である。
大東亜戦争肯定やGHQ悪玉論を叫ぶ人のほとんどもロシアKGBの専属作家である。




--------------参考資料・根拠等一覧-------------------

http://www5d.biglobe.ne.jp/~anpoken/sub3.htm


● ソ連=新生ロシアの大謀略

 一、ゴルバチョフが創ったソ連偽装解体のシナリオ

 自由主義諸国の安全保障問題の専門家、政治家、官僚は口をそろえて、「ソ連は崩壊し、消滅した。冷戦は終わった。脅威は消え去った」と言い続けてきた。だから各国民もみんなそのように信じ込んでいる。果たして本当にそうなのか。もしもこれが、全ユーラシアの制覇、さらに世界制覇を狙うソ連=新生ロシアの超高等な騙しの戦法だとしたら、慢心し油断しきって軍備を大削減している西側自由主義諸国の存立そのものが、決定的に脅かされていることになる。わが日本も二一世紀に、ソ連=新生ロシアに侵略支配されることになってしまうのだ。
 
結論をまず述べよう。一九九一年のソ連から新生ロシアへの転換は、西側自由主義諸国を騙すための芝居である。

それは、ゴルバチョフやエリツィンらソ連共産党トップエリートグループが、綿密に練り上げたシナリオに基づいて演技していったものである。
 ソ連共産党のエリートたちが、三つのグループ、すなわちソ連共産党・ソ連の「改革派=再活性派」(ゴルバチョフ派)、ソ連共産党・ソ連の「保守派」(八人組)、そして反ソ連共産党・反ソ連で、市場経済の民主ロシアの復活と独立国家共同体(CIS)の創設をめざす「民主派」(エリツィン派)の三つのグループの役割分担を決めて、巧みに三者の戦いとエリツィン派の勝利(八月革命)を演技していったのである。
監督兼演出家はソ連共産党トップのゴルバチョフである。


 この大謀略のシナリオは、ゴルバチョフがソ連共産党書記長に就任する一九八五年から発動されてきた。たとえば一九八七年八月、党中央委員会総会でのエリツィンの、「政治面でのペレストロイカの進展が遅い」等々のゴルバチョフ批判や、「保守派」のリガチョフ政治局員への個人攻撃も、芝居のひとつである。同年十一月エリツィンがモスクワ市党委員会第一書記を解任され政治局員候補を外されたことも演技である。八九年十月の背後から来た車にひかれそうになったエリツィン暗殺未遂事件も芝居だ。


一九九○年二月のゴルバチョフによる共産党独裁の放棄と複数政党制導入も、同年六月のロシア共和国最高会議(議長エリツィン)の主権宣言も芝居である。もちろん同年七月のソ連共産党第二八回大会におけるエリツィンの離党宣言も芝居なのである。
 ソ連から新生ロシアへの転換は、シナリオに基づいた国家の偽装倒壊・転換なのだ。ソ連は新生ロシアに偽装したのである。現在もゴルバチョフをトップとするロシアのエリートは、秘密裡に西側騙しのシナリオを創り続け演技を続けているのである。これは兵器を使わない戦争である。


 兵器を使う「熱戦」だけが戦争ではない。敵を騙して勝利する謀略戦争というものがある。「冷戦」である。兵器を使わず謀略によって敵を撃ち負かすことが、最高の兵法であることは自明である。『孫子』の兵法だ。ソ連=新生ロシアは、この「冷戦」を主要な戦術として、全ヨーロッパ、日本など東アジア、中東の全ユーラシアの制覇そして世界制覇という戦略目標の実現を目指してきたし、今もこの目標のために冷戦を戦いつづけ、後述する如く勝利してきているのである。




 ニ、「ソ連・八月革命」が芝居である証拠


 

ソ連から新生ロシアへの移行が、演技であることを立証していくことにする。
 まず、一般に言われている一九九一年のソ連の八月革命とは、以下の如くである。八月十九日、ソ連の保守派は、ソ連の改革派であるゴルバチョフソ連大統領打倒の軍事クーデターに決起する。クーデターの首謀者はいわゆる「八人組」であり、クリュチコフKGB議長、ヤゾフソ連国防相、プーゴソ連内務相、パブロフソ連首相、ヤナーエフソ連副大統領、ルチャノフソ連最高会議議長、バクラノフソ連農民同盟総裁、チジャコフソ連企業・建設・運輸・通信協会会長である。ゴルバチョフは監禁される。

 ところが、民主派の旗手である反共産党・反ソ連のエリツィンロシア共和国大統領が、「クーデターはロシア共和国内においては非合法である。ク-デタ-に関与した者はロシアの法で裁く」との大統領令を発令し、クーデター軍の戦車の上に登り、市民に抗議のためのゼネストを訴えた。
約三万人のモスクワ市民がエリツィンの周りに結集した。国際世論も非難した。これらによってク-デタ-は腰砕けとなり、内部分裂して八月二一日、クーデター軍は降伏し、八人組はロシア国家反逆罪で逮捕されたのである。八月二三日、エリツィンはソ連共産党の活動を停止させる大統領令を布告した。


 ゴルバチョフソ連大統領は、エリツィンに強要されて八月二四日、ソ連共産党中央委員会の解散を命じるとともに、自らもソ連共産党書記長の職を辞したのである。八人組は全てソ連共産党の中央委員会メンバーであったからだ。これによってソ連共産党は解体したのであった。
 同年十二月九日、ロシア共和国、ウクライナ共和国、ベラルーシ共和国の三首脳が「独立国家共同体創設協定(CIS)」に調印し、ソ連の消滅を宣言する。同月二十日に他の八共和国もCISに加盟する。十二月二五日、ゴルバチョフがソ連大統領職を辞職する。クレムリンのソ連国旗が降されて、ロシア共和国の国旗が翻ったのである。ソ連の消滅、新生ロシア・CISの誕生である。以上が、反共産党・反ソ連の民主派による八月革命だ、とされているものである。だがこれは嘘である。芝居である。その証拠を次に書いていこう。


 (1)自国民を四○○○万~七○○○万も殺したような全体主義国家で、三つの政治勢力が国家の体制をめぐって相戦い、その結果、ひとつの国家体制から別の国家体制に変わったというのが本当であれば、大量の流血は必至のはずである。だが三名の死者があっただけだった。そればかりか一九八九年の「東欧革命」であったような大脱走的な大量移民も大規模な連続した反政府デモもなかったのだ。

しかも実質わずか六日間という超スピードで国家体制の転換がなされたことになっている。およそ有りえないことだ。

 (2)国家反逆罪で逮捕された「八人組」はどうなったであろうか。「自殺」したといわれるプーゴ内務相は別にして、あとの者は全員、九四年二月に恩赦で出「獄」して、モスクワの中心部で活躍しているのである。

 (3)東欧諸国でなされたような、ソ連共産党、KGBの七四年にわたる犯罪に対する追及と訴追はあったのか。否である。新生ロシアが本当に反共産主義の民主国家であるならば、当然にも、ソ連時代に殺害、迫害された何千万人もの人々とその遺族が、ソ連共産党、KGBの罪を暴き糾弾する怒りの声を上げることになる。告訴、告発の声を上げた民衆は一人でもいただろうか。否だ。新生ロシアは自由主義国家、民主主義国家ではなく、ソ連時代と全く同様に、自由な言論も自由な報道も微塵も存在しない全体主義国家なのだ。
 エリツィン派は、反共産主義・反ソ連を掲げて国家権力を握った。

反共が国是である以上は、たとえ全体主義であっても、民衆が共産党やKGBの犯罪を糾弾することは問題がないばかりか奨励されるべきことだ。それなのに、右のとうりである。これは何を意味しているかといえば、答えは一つしかなく、ソ連と「新生ロシア」の支配者(独裁者)は全く同一である、ということである。ソ連共産党のエリートが新生ロシアの支配者になっているのである。
 だから、エリツィンがかなり前からソ連共産党の「保守派」を批判し、共産党の「改革派」のゴルバチョフを批判し、そしてモスクワ市党委員会第一書記を解任され、ついにはソ連共産党を脱党し、一九九一年六月のロシア共和国大統領選挙では、反共産主義・反ソ連の立場で戦い圧勝したことなどは、全てシナリオに基づいた芝居であるということなのである。

 ソ連(ロシア)とは一言でいえば全てが嘘、嘘、嘘の国家である。国民は長年の体験でそのことを身をもって知っているからこそ、今回のソ連から新生ロシアへの転換に対しても、本能的に嘘、騙しを感じているから、独裁者の怒りを恐れて口をつぐんでいるのである。国家テロルによる恐怖支配があるのだ。新生ロシアに自由があるかのように見えるのも、全て演技である。次に(1)の点を補足して述べたい。





 三、ソ連とは共産党が所有する国家である




 ソ連という国家は、西側先進自由主義国とは全く異なる国家である。ソ連共産党が国家という衣をまとったのがソ連である。つまりソ連は共産党の所有物である。共産党以外の政治組織は存在しない。ソ連国防省とソ連軍とは、ソ連共産党の国防省のことでありソ連共産党の軍隊のことである。ソ連内務省と治安部隊も共産党の内務省であり治安部隊だ。内閣も外務省もしかり。他の国家機関もその大臣職も全てソ連共産党の所有物である。一切の権力をソ連共産党が握っているのだ。共産党以外の国民は完全に無力である。ソ連には、ソ連共産党=国家権力を制限し国民の権利を保障する法の支配など存在しない。ソ連共産党中央委員会の決定が〃法〃である。法治ではなく、前近代の人治である。
 ソ連共産党は、中国共産党と違って党内支配は安定しており、ブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコ、ゴルバチョフと歴代書記長は前任者が病死することによって交代してきた。だから「保守派」のゴルバチョフ打倒の軍事クーデターはそもそもおかしい、となる。
 一般論で言えば、クーデターは成功する可能性があるときに決行されるものである。成功するような陣容を整えて行なうものだ。今仮に、西側世界で信じられているように、保守派の軍事クーデターが本物であったとして、その後の事態の推移と矛盾がないかどうかを検証してみよう。
 八人組は全員がソ連共産党中央委員会のメンバーであり、KGB、軍、治安部隊という暴力装置の責任者も入っている。いわば最強の軍事クーデター部隊である。現にソ連共産党書記長のゴルバチョフの監禁に成功したのだ(芝居であるが)。ということは、彼らがソ連共産党の新しい指導者になったということである。八人組が指導するソ連共産党の力は、共産党の所有物であるソ連がアメリカより巨大な軍事力を持つ国家であることから推して知るべしである。
 ところがこの軍事クーデターは、エリツィンロシア共和国大統領と三万人の市民と国際世論の前に、あっけなく解体して八人組は逮捕されてしまったというのである。エリツィンはソ連共産党を脱党している人物である。その無権力のエリツィンを、これまた全く無力の国民がロシア共和国大統領に選出しても、エリツィン大統領には何の権限も生じないのだ。事実、主権宣言したロシア共和国には軍隊や治安部隊はなかった。三万人のモスクワ市民も素手であった。八人組にとっては、エリツィンら「民主派」の決起を蹴散すことは朝飯前のことなのである。ところがそれが降伏したというのである。全くの矛盾だ。だから、これは西側を騙すための芝居、演技なのである。
 ゴルバチョフを監禁できたクーデター部隊を降伏させたとなれば、エリツィンにとってはゴルバチョフを支配することも容易である。というわけで、ゴルバチョフが創った騙しのシナリオは、エリツィンロシア共和国大統領が、ゴルバチョフソ連大統領を強要してソ連共産党中央委員会を解散させ、ゴルバチョフ書記長を辞任させ、ソ連共産党を解体させるものであった。その通りに芝居は進行したのである。この間わずか二日間であった。
 「保守派」の軍事クーデターに対抗してエリツィンの下に結集したモスクワ市民は三万人であったが、モスクワ市の人口は一千万である。残りの九九七万はどうしていたのか。日常生活を送っていたのだ。パンや野菜を買うために行列をしていたのである。つまり三万人が「劇場」である最高議会前広場に動員されて、演技させられたのである。この三万人はソ連共産党員のエリ-トであったはずだ。西側諸国は、それをテレビで観て、ロシア全土で同じような「民主派」の抗議デモが起こっているかのごとく錯覚してしまったのである。騙されたのだ。
 だが、もし仮に一千万のモスクワ市民がソ連共産党の独裁支配に抗議して起ち上がったとしても、共産党支配はビクともしないのである。共産党は全ての権力を握っており、国民は全くの無力であるからだ。だからソ連国民は、弾圧されることが目に見えているので決して反共産党の行動などしないのである。これがソ連共産党が支配しているソ連という特殊な国家の真の姿である。つまり「八月革命」など起こりえないのだ。起こりえないものが起こったのは、西側を騙すための芝居であるからである。

 四、西側諸国が「八月革命」を信じ込んでしまった理由

 西側自由主義諸国は見事に騙されてしまった。その理由は次のとうりである。
 (1)自由主義諸国においては、国家の偽装倒壊(芝居)などやろうとしても不可能である。このことから、西側諸国はどの国家においても、だからソ連でも、国家の偽装倒壊など有りえないと本能的に思い込んでしまっていた。いや、そもそも「国家の偽装倒壊」という観念自体が無かったのであった。だから疑うことができなかった。
 (2)もちろんゴルバチョフ書記長をトップとするソ連共産党のエリートは、西側を騙すために念入りに準備(芝居)をしてきたのである。すなわち八六年から「ソ連の民主化」を演技してきたのである。ペレストロイカだ。
 一九八八年十二月、ソ連憲法を改正してそれまでの最高会議に代わる「ソ連人民代議員大会」を創設し、八九年三月に初の複数候補制によるソ連人民代議員選挙を実施した。九○年三月には、「ソ連共産党の指導」(つまり一党独裁)の放棄と複数政党制の導入、また大統領制を導入する憲法改正を行なった。そしてゴルバチョフがソ連大統領に就任する。ソ連大統領をソ連軍の最高司令官にした。ロシア共和国においては九○年六月に主権宣言を行ない、九一年六月に、複数政党制の下でロシア大統領選挙を実施し、反共産主義・反ソ連を掲げるエリツィンが圧勝する、という具合にである。
 このようなこともシナリオを創って演技していくことができるのだから、ソ連(ロシア)とは心底恐ろしい国家である。共産党が全ての権力を握り、むろん法の支配などなく、秘密警察(KGB)が全国民をくまなく監視して、好ましくない人物は家族ぐるみ情け容赦ない弾圧を加えるという国家テロルによる恐怖体制を敷いているからこそ、可能になるのである。
 ゴルバチョフは、一連の「民主的改革」と「民主的選挙」という演技によって、西側諸国に「ソ連も変わり、西側のような民主的な政治制度に近づきつつあるのだ」という偽イメージを植えつけていったのである。
 そして西側諸国は、「ソ連の最大の共和国であるロシア共和国が主権宣言し、他の共和国も主権宣言し、反共産主義・反ソ連を掲げたエリツィンが、国民の圧倒的多数の支持を得てロシアの大統領になったのだから、連邦政府(ゴルバチョフ大統領)の権限はほとんど無くなった。ロシア共和国の最高権力者であるエリツィン大統領の方が連邦政府よりもはるかに強力になったのだ」とのソ連が流す嘘を信じ込むようになっていったのである。こうして西側は「八月革命」を信じてしまったのである。
 (3)もうひとつ忘れてはならない重要なことがある。一九八九年の東欧諸国における共産主義体制を「崩壊させた」民衆革命の影響である。すなわち、東欧の共産党政府は、表面的には、圧倒的な民衆の決起の前になすところなく敗北していった(だがここにも後述のごとくゴルバチョフの謀略があったのだ)。これによって西側は「民衆の力の巨大さ」という幻想を植えつけられたのである。だからエリツィンがロシア共和国大統領になった頃から、西側諸国の間には「ソ連でも東欧革命と同じことが起こるのではないか」という期待が広がっていったのである。従って実際に「八月革命」が「起こった」とき、西側諸国は疑うことなくすっと信じ込んでしまうことになったのである。

 五、一九八九年の東欧民衆「革命」の真実

 自由主義諸国の常識は、「東欧解放」を、東欧各国民衆の共産主義体制打倒の革命が成功したためだと理解している。民衆の力の成果だとの理解である。たしかに各国民衆は、自由を掲げて共産主義体制の転覆をめざして主体的に行動していった。ソ連の「八月革命」のような芝居ではなく、正真正銘の民衆の決起であった。だが、民衆が決起さえすれば共産体制が崩壊するのであれば、東欧ではとっくの昔に共産主義国家は倒されているはずである。
 つまりこの民衆革命、東欧の解放も、ゴルバチョフらソ連共産党のエリートがシナリオを創り演出していったものなのである。すなわちゴルバチョフが東欧の共産党政府に、「時代が変わった」と民衆が感じる措置をとらせ、また「断じて民衆の行動を弾圧してはならぬ!」と秘密命令を出したからこそ、はじめて民衆の決起となり、勝利になっていったのである。もしもゴルバチョフが各国政府に弾圧を許可していれば、民衆決起はたちどころに圧倒的武力によって一蹴されてしまっていたのである。
 この問題については、既に中川八洋教授が一九九○年十二月刊の著書『大侵略‐二○一○年、ソ連はユーラシア大陸を制覇する』(文藝春秋/ネスコ刊)第三章で詳しく立証し尽くしているところである。一部引用してみたい。
 「共産体制とは、すべての反乱および政府転覆を不可能にする体制である。この手段として、公然の軍事力と非公然の秘密警察の二重の恐怖・弾圧機構が存在する。国家テロルの恐怖体制である。(中略)
 たとえば、東ドイツの消滅で明らかになったように、十万人のスタッフをもつその秘密警察(シュタージ)が対象にした国民の個人リストは約六百万人分にのぼるという。人口一千七百万人であるから成人男子はほぼ全員が「予備犯罪者」として秘密警察の監視の下におかれていたのである。このようなシステムの下では、民衆の蜂起のみでは政府は転覆しない。
 一九八九年の東欧解放とは、この公然または非公然の国家テロルの発動中止の命令がない限り決して起こりえないものであった。東欧諸国の軍隊も秘密警察も、実際上はそれぞれの国家の政府には属しておらず、いずれもソ連軍とソ連KGB第一総局の指揮下にある。東欧諸国の民衆蜂起に対して、各国の軍も秘密警察も弾圧的な行動の匂いすらも発しなかった。このことは、これらの機関の最高司令官である、ソ連共産党書記長のゴルバチョフがそう命令したからだ、と考えるのが真実だろう。(中略)
 ポーランドの連帯非合法化をポーランド共産党みずからが突然取り消したのが(八九年一月十八日)、ポーランド『民主化』の始まりであり、東欧解放の始まりであった。この連帯非合法化の取り消しの経過は、闇につつまれているし、これはポーランド共産党の背後に、見えざる大きな力が働かない限りありえない措置であった」(一○四頁以下)。
 東欧諸国はソ連の植民地である。「連帯」の非合法化の取り消しに続いた、「連帯」が圧勝したポーランドの八九年六月の複数政党制による総選挙の実施も、支配者たるソ連共産党のそのような命令のひとつであったはずだ。ゴルバチョフは東ドイツのクレンツ共産党書記長に「ベルリンの壁を早く開け!」と命じたし、チェコスロバキアのヤケシュ共産党書記長には辞任を迫る書簡を送付している。またルーマニアのチャウシェスクを倒したルーマニア国軍の背後にはソ連の支援があったのであった(前出『大侵略』一○五頁以下参照)。
 以上が「東欧の民衆革命」「東欧解放」の真実である。たしかにゴルバチョフ書記長は八九年十月、「ブレジネフ・ドクトリンを放棄する」と宣言して、ソ連軍が東欧の民衆革命に介入しないことを公にした。「侵略主義を放棄したニューソ連」(虚像)の演出である。だが、ゴルバチョフのソ連共産党が陰で今ここに書いたことまでやるとは考えもしない西側諸国は、「民衆の力は偉大であり、共産主義体制すら倒しうるのだ」と盲信していくことになったのである。ゴルバチョフの騙しのシナリオは、これを布石として、その上に九一年のソ連の「八月革命」を設定していくものであった。
 言うまでもなく、ソ連共産党は永遠に東欧を解放したのではない。二~三○年後に反攻して、東欧ばかりでなく全ヨーロッパを侵略・植民地支配するために、一時的に東欧を「解放」したにすぎない。ソ連の一時的な退却が「東欧解放」である。退却は敗北ではない。
 
 六、ソ連共産党が大謀略を開始した理由

 なぜゴルバチョフらソ連共産党は、「東欧解放」等を行なって「侵略主義を放棄したニューソ連」をアピールし、さらにその「ニューソ連」を「新生ロシア」に転換するという、世紀の大謀略戦争を発動することになったのか。これについて、次に述べていこう。
 (1)一九八一年一月レーガン大統領が就任し、「強いアメリカ」を掲げ、ソ連に対して「攻勢的封じ込め政策」を採ることになった。
 (2)大統領はソ連の大規模な化学兵器生産に対抗して八二年、凍結していた化学兵器の生産再開を命じた。八七年生産となった。
 (3)大統領は八三年三月、ソ連を「悪の帝国」と断じ、ソ連の核軍拡に対抗するために、核軍拡競争を断固遂行することを宣言した。
 (4)大統領は八三年三月、SDI(戦略防衛構想、宇宙防御兵器)研究開始を決定し、八四年度(八三年十月)から開始していった。SDIの主体はレーザー兵器である。
 (5)大統領は八三年十月、カリブ海の国グレナダの共産政権がソ連のための空軍基地を完成させようとしていたところに、米軍の海兵隊と空挺部隊を投入して、グレナダ共産政権を打倒した。
 (6)大統領は八三年末から、西ヨーロッパに地上発射の中距離核弾道ミサイル・パーシングⅡと地上発射の中距離巡航ミサイル・核トマホーク(GLCM)の配備を開始した。配備完了時期は八八年である。
 ソ連軍は、レーガン大統領(米軍最高司令官)の(3)~(6)の八三年の一連の発言と政策への対処として、一九八四年、有事の臨戦態勢に入ったのである。すなわち「ソ連軍は、一九八四年、『NATO(北大西洋条約機構)の対ソ侵攻』などという、われわれから見ればありもしないことに恐怖してパニックに陥った。(中略)しかも、このレーガン大統領が一九八四年に再選されたために、ソ連としては、レーガン大統領がその最後の任期となる一九八五年から八八年にかけて、ソ連帝国の解体(ソ連・東欧の人民の解放)に向けて西側を総動員して攻めてくると考えたようだ」(中川八洋教授『蘇えるロシア帝国』一一八頁以下。学習研究社九二年六月刊)。
 なぜソ連軍五○○万は臨戦態勢に入ったのか。それはソ連共産党が「米国は(6)によって欧州に限定した戦域核戦争遂行能力を獲得した。もしも西側が戦域核戦争を仕掛ければソ連の敗北は必至となる」と考え、心底から恐怖したからである。それを次に説明しよう。
 ソ連の中距離核ミサイルは米国には届かないが、西ヨーロッパに配備される米国の中距離核ミサイルはソ連の中枢部(ソ連の欧州部)に到達する。このような「地理の非対称」が米国とソ連の間にはあるのである。だから、もしも米国をリ-ダ-とする西側が欧州で戦域核戦争を起こせば、核戦力も通常戦力も圧倒的に優位のソ連が西ヨーロッパを制圧することにはなるが、ソ連の政治・軍事中枢は米国の中距離核ミサイルで壊滅してしまっている。つまりこの戦域核戦争後のソ連は、もはや核超大国ではなくなってしまっているのである。一方、米国本土は無傷で残っているのである。だから、アメリカが全面核戦争(=戦略核を使用する)の恫喝をすれば、ソ連にはもはや屈服するしか道はないのである。これらは、中川八洋教授が主張していることである(『蘇えるロシア帝国』一二三頁以下、『大侵略』六八頁以下参照)。
 なお、八三、八四年当時、アンドロポフソ連共産党書記長は、「戦域核戦争は、必ず全面核戦争にエスカレートするぞ」と何度も宣言していたが、これははったりでしかない。全面核戦争にエスカレートさせるということは、米ソ共倒れになるということであり、ソ連の消滅である。しかしソ連の目標は世界制覇であるから、自らが滅んでしまう戦争は絶対にできないのである。だからもしも西側が、欧州で戦域核戦争を仕掛けたとすれば、ソ連は、全面核戦争にエスカレートさせずに、欧州のみに限定する戦域核戦争を戦うしかない。そして前述の如く、ソ連には敗北しかなくなるのである(『蘇えるロシア帝国』一二九頁参照)。
 レーガン大統領の「ソ連=悪の帝国」発言と、グレナダ共産政権つぶしの軍事行動、そして八三年からのINF(中距離核戦力)の西ヨーロッパ配備開始によって、ソ連共産党のエリートは、レーガンは本気でソ連をつぶすために西側を総動員して戦域核戦争を仕掛けてくるかもしれないと考えて、恐怖に陥り、臨戦態勢をとったのである。
 もちろんレーガン政権は、戦域核戦争を自ら仕掛けるつもりでINFを配備していったのではない。このINF配備は、ソ連のINFにバランスさせるためにしたにすぎなかった。だが、世界征服のためならば「味方」さえも犠牲(東欧解放の演出で東欧の共産党を犠牲にした)にするメンタリティーのソ連共産党は、自らの姿によって相手を判断することによって、米国もそうだろうと考えた。だから恐怖のためにパニックに陥っていったのである。
 西欧配備の米国のINFとは、ソ連が西欧へ侵略を仕掛けたとすれば、米国と西欧(NATO)は欧州戦域核戦争で対抗できるようになるということを意味する。戦域核戦争になれば、戦争後のソ連の敗北は決定してしまうから、ソ連は西欧を侵略することはできなくなってしまうのである。すなわち米国のINFの西欧配備開始とは、ソ連を完全に封じ込めるものになったのである(『大侵略』六九頁参照)。
 さらにSDIの研究開始決定が、ソ連共産党を恐怖のパニックに陥し入れた。SDIが開発配備されれば、ソ連が長年苦労して開発・生産・配備してきたICBM、SLBM(潜水艦発射弾道核ミサイル)が宇宙で破壊されてしまうことになり、無効になってしまう。そうなればソ連は、「ICBM、SLBMを米国へ撃ち込むぞ!」という脅しが使えなくなるから、米国の核抑止がストレートに機能することになり、全ヨーロッパ、東アジア、中東を侵略・植民地支配するという(→さらに世界支配へ)ソ連の念願は不可能になってしまう。ソ連は完全に封じ込められてしまうのである。そればかりか、米国がソ連帝国解体のために戦略核戦争の恫喝を加えれば、ソ連は屈服、降伏を余儀なくされることになってしまうのだ。
 つまりソ連共産党=ソ連は、米国レーガン政権によって徹底的に追い詰められたのである(だが、米国には軍事理論的にその自覚が全くない!)。再び繰り返そう。このまま事態が進展していけば、客観的に、ソ連は完全に封じ込められて対外侵略ができなくなってしまうだけでなく、将来、透徹した指導者が米国に現れたら、米国の戦略核戦争の恫喝によって、ソ連は敗北、解体することにさえなってしまうのである。
 この心底からの危機感と恐怖感が、ゴルバチョフらが、世紀の大謀略シナリオを創り、発動していかざるをえなかった理由である。

 七、ソ連=新生ロシアの大謀略によって大軍縮させられている西側諸国

 ゴルバチョフのソ連共産党は、米国のINF配備とSDI研究開始決定によって、ソ連存立の危機となった戦略環境を打開するだけでなく、米国ら西側諸国を安心させ無警戒にして大軍縮させてしまい、自らが軍事的に圧倒的優位になれる、そのような大謀略を実行していくことにしたのである。そうすれば、念願の全ユーラシアを征服できるようになるのだ。

 INF廃絶条約締結=ソ連の勝利
 とはいっても、すぐに「東欧解放」「ソ連から新生ロシアへの革命」を演出するわけにはいかない。西側をうまく騙すにはそれなりのプロセスを踏む必要があるからだ。ゴルバチョフはまず、ソ連得意の「(偽の)軍縮=平和」攻撃をかけていった。

「新思考外交」だ。それによって、「ソ連はゴルバチョフの下で平和愛好のニューソ連に変わったのだ」というイメージ(虚像)を西側に植えつけていったのである。
 軍事バランスの優位は、軍縮の方法によっても達成できる。つまり自らの軍縮よりも、質的なものも含めて敵国により多く軍縮させてしまえばよいのである。また軍縮条約を締結して、それで敵国を縛り、自らは密かに破っていけばよい。ゴルバチョフの軍縮提案とは全てこうした騙しである。


「外交交渉とは平時の戦争だ」と認識しているソ連共産党と、その自覚が希薄な米国政府では、勝負は見えている。
 八六年一月、ゴルバチョフは「核兵器三段階廃絶」提案を米国に対して行なった。第一段階は、米ソの戦略核半減と欧州の米ソの長射程INF(1000km以上)の全廃だが、SDIの開発・実験・配備の中止を条件とする。第二段階は英、仏、中国がこれに参加してまず核を凍結する。第一段の終了後に、米ソ英仏中が戦術核(500km以下)を廃絶する。第三段階は残りの全ての核兵器を廃絶する。一九九九年までに達成する。その時点で再び核兵器が出現できないような協定を締結する、というものである(中川八洋教授『核軍縮と平和』八頁以下参照。中央公論社八六年六月刊)。


 ゴルバチョフは八六年十月のレイキャビックの米ソ首脳会議でも同様の主張をし、また十月にアフガニスタンからソ連軍の一部兵力を撤兵させる演出も行ない、「新思考外交」の「ニューソ連」をアピールしていった。八七年二月からのINF交渉ではゴルバチョフはSDIはそれにからめないと宣言し、四月には欧州のINFダブルゼロ(長射程も短射程も全廃)を提案し、七月にはアジア太平洋地域のINFも全廃することを提案していった。


 自らのINFが侵略国ソ連を完全に封じ込める軍備であることを全く認識していなかったレーガン大統領は、ゴルバチョフの一連の「軍縮=平和」攻撃と、ソ連の方が二倍の量のINFを廃棄するという事実に眩惑されて、八七年十二月にあっさりと米ソINF廃絶条約に調印してしまったのである。質的に比較にならない程深刻に大軍縮させられたのは米国・西側の方であることを、レーガン大統領は認識できなかったのだ。ソ連は封じ込めから自らを解放したのである。
 米ソのINFは九一年五月までに全廃された。同条約の検証期間は二○○一年五月までである。それ以降は、全体主義国家である新生ロシアでは、密かにINF生産を再開していくことが可能である。だが一方の自由主義国家である米国では、二○○一年頃には財政面からいってパーシングⅡの生産設備も技術者も消えてしまっている。また条約に違反して密かにINFの再生産を開始していくことは不可能である。自由な報道と世論があるからだ。ソ連=新生ロシアは息の長い戦略を立てるのである。
 「ソ連=新生ロシア」のエリートは、条約・協定を戦争手段ととらえており順守する意思などない。彼らにとって条約や協定とは、敵国には順守させ、自らは密かにあるいは機が来れば公然と破って、自国の軍事的優位を確立するために締結するものなのである。ソ連はかつて、締結した日ソ中立条約を破って日本に軍事侵略した。
 米国は、INF交渉(軍縮交渉)という平時の戦争(冷戦)において完全にソ連に敗北したのである。

 東欧解放、ソ連民主化で西側の意識を変える
 ゴルバチョフは八八年五月からアフガニスタンからの本格的撤兵を開始し、「侵略主義の放棄」「新しいソ連」を西側に宣伝していった。ソ連=新生ロシアは、アフガニスタン・中東征服を二、三○年後にズラしただけなのである。その間に戦略的優位を確立するのである。
 ゴルバチョフは、右の「平和」攻勢の上に、既述した「東欧解放」の演出を開始していったのである。まずゴルバチョフは八八年十二月、欧州から兵員二四万人と戦車一万輌を削減すると発表した。八九年五月には欧州通常兵力削減交渉の場で、戦車四万輌の大削減を申し出たのであった。
 東欧解放とは、東欧四ヶ国に駐留する巨大な兵力のソ連軍が撤退することであり、ワルシャワ条約機構軍(WTO)の解体である。ソ連帝国の国境が約九百km後退することである。(騙しの)欧州通常兵力削減(CFE)条約は九○年十一月に調印された(発効は九二年七月。後で再びふれる)。東欧が解放されることは、西欧侵略のためのソ連の前進地帯・兵力動員地帯の消滅であるから、西側諸国が「ソ連は侵略主義を放棄したのだ」と錯覚したとしても不思議ではない。
 ゴルバチョフは八九年に「東欧解放」を実現すると、今度はその「侵略主義を放棄した新ソ連」(演技)の下で、九○年二月から三月にかけて「一党独裁の放棄」「複数政党制」「大統領制」「民衆の政治的自由」という国内の民主的改革を実施(芝居)していった。これで西側は「ソ連は西側と友好関係を築く、人間的で民主的な社会主義国に変わったのだ」と、決定的に騙されてしまったのである。NATOは対ソ脅威否定宣言(九○年七月)を出し、NATOと旧WTO諸国は東西対決の終結と不戦の宣言(同十一月)を出すことになったのである(『大侵略』七二頁以下参照)。

 「ソ連解体」でソ連=ロシアの軍事優位確立
 さらにゴルバチョフはダメ押しの騙しを実行していった。すなわち、九一年の「ソ連・八月革命」の芝居によって、社会主義国ソ連を「打倒」して、「市場経済と民主主義の新生ロシア」を「誕生」させていったのである。西側をさらに安心させ無警戒にさせるには、ソ連を崩壊させ、西側を冷戦の勝者に仕立て上げて驕慢にさせればよいわけである。そうすれば西側諸国は先を争うようにして軍備を削減していくことになる。事実、そのように進展して今日に至っている。しかもソ連は新生ロシアに変装して、敵と同じ側に位置することができるようになるのだ。
 ゴルバチョフの世紀の大謀略によって、今日西側は大軍縮してしまっており、戦略環境は新生ロシア(ゴルバチョフが陰の支配者だ)に極めて優位になってしまっている。
 


(1)CFE条約(欧州通常兵力削減条約)もゴルバチョフの騙しであった。同条約はウラル山脈以西の欧州の通常戦力に関する取決めである。ソ連・東欧軍が削減した四万輌の戦車のうち、廃棄される一万九千輌は老朽化したものであり、だから通常の廃棄処分であって、削減なのではない。残りの二万一千輌はウラル以東へ移動させればよいのである。またソ連は「軍縮」を叫ぶ一方で軍拡を続け、新鋭の強力な戦車T‐80を大量生産しており、八五年から八九年の間に一万五千輌以上を生産し、九○年代の十年間でさらに一万三千輌を追加する。これらがウラルのすぐ東側に蓄積されていくのである(『大侵略』五五頁以下参照)。


 一方の在欧米軍と西欧諸国の通常戦力は、現状よりもはるかに低いレベルに大削減された。在欧米軍の場合、条約の上限数を自主的に大きく下回り、戦車でいえば調印時の五分の一の一一九二輌に大削減してしまっている(一九九五年現在)。

この外交戦争でも、西側はゴルバチョフに破れ去ったのである。なお、日本の戦車の年間生産台数は五六輌であり、全体でも一千百十輌にすぎない。
 在欧米軍の兵員は三三万人から一○万人に大削減されてしまった。在欧英軍もしかりである。
アジア太平洋地域の米軍も削減されている。さらに西側各国は軍事費を大巾に減して通常戦力を大削減している。

 (2)INFについては既に述べたとうりである。

 (3)欧州に前方展開されていた米軍の核爆弾を除く戦術核と戦場核は、全て本国へ撤去されてしまった。アジア太平洋地域の戦術核、戦場核も全て撤去されてしまった。海上発射巡航ミサイル・トマホークSLCMも全て撤去された。これらを撤去すべき条約は存在しないのに、ブッシュ大統領とクリントン大統領は一方的に撤去したのである。「冷戦の勝者」に仕立て上げられた驕慢から生じた無警戒心の発現であった。

 (4)米ソは九○年六月、化学兵器廃棄協定を調印した。米国が八七年に化学兵器生産を再開し、八九年にフル操業に入ったために、米国の化学兵器をつぶすためにゴルバチョフは調印したのである。米国は九○年七月、「西独配備の化学兵器(砲弾約十万発)の廃棄を開始した。米国こそ、欧州において化学兵器に関して武装解除されたのである」(『大侵略』二三○頁)。また国際条約の化学兵器禁止条約の調印・発効(九七年四月)により、西側諸国は十年以内に化学兵器を全廃することになる(二○○七年まで)。だが全体主義国のロシア(=ソ連)では、条約の抜け穴を利用して生産していくことができる。化学兵器はロシア(ソ連)が独占所有することになるのである。
 (5)「ソ連解体」の芝居によって、対ソ軍事同盟であったNATOは形骸化、解体されてしまった。NATOとロシアは「特別な協力関係」を結ぶに至っている。日米同盟の主目的は対ソ同盟にあったが、同じ理由でロシアに対しては形骸化、解体させられてしまった。ロシア極東には、日本・極東米軍の戦力を何倍も上回る戦力(核を含む)が存在するというのに!
 (6)SDIは、ゴルバチョフの大謀略によって、ブッシュ大統領時代にその熱意は急速に冷えてしまった。そしてクリントン大統領によって、中止された。SDIの開発・配備には十年の年月がかかる。だから将来ロシアが全ユーラシアへの侵略を狙わんとしたとき、SDIは全く使えないものになってしまったのである。
 (7)ソ連=ロシアは米国の戦略核兵器を大削減することにも成功してきている。米ソ(ロ)の戦略兵器削減条約=START1と2の調印である。START1は九一年七月に調印され発効している。二○○一年末までに運搬手段の上限数を一六○○基(機)に削減し、弾頭数の上限を六千発に削減するというものだ。START2は未発効だが、二○○七年末までに弾頭数の上限を三千~三千五百発に削減するというもの。二千~二千五百発に削減するというSTART3の予備交渉でこの八月十九日、ロシアは上限をさらに千五百発以下にすることを提案した。英国と仏国も戦略核(ロシアから見るとINFだが)を大きく削減してしまっている。
 全ユーラシアの征服を狙うソ連=ロシアの通常戦力、化学戦力は西側を圧倒している。米国とユーラシア大陸の間には両大洋があるからだ。ロシアは長大な縦深を持っていてどこまでも退却が可能であり、だから通常戦力だけでは決して敗北しない。これらの事実を認識することが軍事の基本である。だからこそ、ロシアの全ユーラシア侵略を抑止するには、西側にはロシアの中枢部を攻撃できる戦略核戦力が不可欠になるのである。とりわけ米国の戦略核戦力である。核の傘だ。
 ソ連は、自らが西ヨーロッパや日本を侵略したら、同盟によって、米国の戦略核がソ連の政治・軍事中枢に向かって飛んで来るかもしれないと考えて、これまでは侵略を思いとどまってきたわけである。もしも米国の戦略核戦力が貧弱なものであれば、日本も西欧も中東もとっくの昔にソ連に侵略されている。もし、地球上から全ての核兵器が廃絶されたら、通常戦力・化学戦力で他を圧倒するロシアが、全ユーラシアを侵略支配することになるのである。
 だから西側諸国(日本も当然!)は核戦力を持ち、強化し、それでロシアを圧倒しなくてはならないのである。西側自由主義国の核戦力は善なる軍備であり、平和のシンボルである。反対に、ロシア、中国、北朝鮮、イラクといった全体主義国の核戦力は悪の軍備であり、平和破壊(侵略)のシンボルである。警察官の武器は自由主義社会を守る良い武器であり、テロリストや犯罪者の武器は悪い武器であるのと同じことである。この単純な真理を理解しえないために、日本政府は毎年八月六日の広島で、非核三原則堅持、核兵器の地球からの廃絶を訴えて、侵略国ロシア(=ソ連)等のお先棒をかつぐ愚行、反国家行為を行なってしまうのである。完全に国内の左翼侵略勢力と同じ行動をしてしまうのである。
 米国の戦略核が三分の一、五分の一になることは、米国の核抑止力も三分の一、五分の一に低下するということである。さらにロシアは、ソ連が七○年代の戦略核兵器制限条約を破って核軍拡していったように、START条約も守る意思などないのだ。自らの核優位を確固たるものにすることこそ、ロシアのSTART交渉の狙いなのである。条約は戦争手段なのだ。
 (8)ロシアは「市場経済と民主主義」の偽りの衣をまとって西側陣営の一員としてふるまっている。これによってロシアは、西側諸国から最先端技術を獲得できるようになっている。それによってロシアは、西側を侵略するハイテク兵器を開発・製造しているのである。
 またロシアは「経済混乱」を演出して、「共産党がこれに乗じて政権を取ったり、ソ連を復活させることを阻止しなくてはならない」と西側を騙して(ロシア共産党を公然と〃復活〃させているのは、このためでもある)、西側諸国と国際機関から多額の「経済支援」を取っている。ロシアはこのカネで、西側を侵略するための軍需産業を強化しているのである。
 「経済破綻」「財政危機」も芝居である。ロシアは「経済破綻により国防予算は大削減されて、軍は内部から崩壊してきている」と執拗にプロパガンダしているが、自国を経済的=軍事的に弱小に見せて敵を油断させるのは兵法の基本である。「賃金未払い」といっても、国民は食券をもらって食堂でちゃんと食べているのだ。餓死者なんかどこにもいない。
 ロシアはカネを返すつもりなどない。債務繰り延べや借り換えを繰り返して、最後に西側を侵略してしまえば万事解決だ、と考えている。
 (9)ソ連=ロシアは西側分断をめざしてきた。九○年十二月に「独ソ善隣・友好・協力条約」が結ばれ(東独を返してもらったので独は親ソになる)、ロシアにも継承された。これは準・同盟である(中川教授)。ロシアは日本との間でも「日ソ平和友好協力条約」を結び、日米を離間させ、日本をロシアへ引きつけようと工作している。この八月十六日、「日ソ防衛交流覚書」が調印された。
 (10)ソ連=ロシアは、冷戦終結を演出することで、西側の意識を徹底的に軟弱化することに成功した。西側諸国では左翼の「人権」思想や「平和」思想等がまん延し、各国で保守政党が政権を退き、世界と国内秩序は大きく揺らいできている。湾岸戦争でもコソボ戦争でも、西側は自国軍に戦死者が出るような戦争形態を恐れるようになってしまっているのである。
 (11)彼らは、日米、米欧、日欧を互いに経済的に対立させることに成功してきている。九○年代前半の「日米経済戦争」はその最たるものだ。ロシアKGBの工作員が暗躍していることは間違いない。この工作はこれからも続く。

 八、二一世紀ロシア=ソ連は全ユーラシアへ大侵略を開始する

 今後ロシアは、現在実行中の大謀略戦争を時間をかけて更に発展させて、ロシアの戦略環境をより優位なものにしていく。現在ロシアは新型ICBMを開発しているし、古い兵器を廃棄して(これを軍縮だと騙す)、最新鋭のものに更新している。そして二○一○年か一五年か二○年かはわからないが、これで十分だと判断したら、核兵器、化学兵器、通常兵器を総動員して、一気に日本など東アジア、全ヨーロッパ、中東へ大侵略を開始することになる。
 ロシアのエリートは、この大侵略を開始するとき、偽装をやめてソ連であることを公然と宣言して革命戦争として行なうはずである。そうすれば、西側各国の左翼勢力を味方にでき、西側各国内を分断できるからだ。その頃になれば、かつてのソ連が言語に絶する非人道的国家であったという事実は、西側の人々の記憶から消え去ってしまっている。
 ソ連が大侵略を開始せんとしたとき、思想軟弱になり軍事的にも大劣位になっている米国は、自分の国が侵略されてもいないのに、ソ連から大量の報復核が飛んでくることを覚悟して、ソ連の政治・軍事中枢へ戦略核を撃ち込んでソ連の侵略を止させようとするだろうか?できるだろうか?その答えは否だ。米国は消極的に侵略を容認していくだろう。侵略された日本など東アジア、全ヨーロッパ、中東では大虐殺、大収奪、大強制連行・強制労働の地獄が出現する。何千万人もの貴い命が奪われることになる。
 このまま時が進めばそうなるしかないだろう。私たちは一日でも早くソ連=ロシアの大謀略に気づき、米国を中心に西側同盟の結束を強化し、関係する条約、協定を全て破棄し、一切の交渉を拒絶し、核戦力をはじめとする軍備を増強して、今度は自覚的に「欧州戦域核戦争戦略」に基づいてロシアを攻勢的に封じ込めていく冷戦を早急に再開していかねばならないのである。同時にNMD、TMDさらにSDIを開発配備していかねばならない。

                     一九九九年八月二十日記













http://www5d.biglobe.ne.jp/~anpoken/sub7.htm







● 新生ロシアはソ連の偽装である
 

一、人類史上初の国家偽装転換の大謀略

 一九八三年ソ連は、欧州戦域核戦争戦略を可能にするアメリカのパ-シングⅡとトマホ-クGLCMの西欧配備開始と、ソ連の弾道ミサイルを無効化し得るアメリカのSDI(宇宙防御兵器)の研究開始によって、侵略を抑止されて完全に封じ込められていくことになった。

そればかりかSDIが完成し配備される近い将来において、国家存立の危機に直面することになったのである。それゆえにソ連共産党のエリ-トたちは、この未曾有の国家の危機を脱するとともに、逆に西側に対する戦略的優位を勝ち取るために、超高等な大謀略を発動していったのである。

 すなわちゴルバチョフは、東欧解放を演出し、併行してソ連の政治的自由化、民主化の芝居を展開し、その上に仕上げとしてエリツィンを立てて九一年のソ連解体と民主主義と市場経済を志向する新生ロシア誕生の革命を演技していったのであった。ソ連共産党は、国家を新生ロシアに偽装したのである。

 一九二一年のレ-ニンによる全面的な市場経済化という国家政策の大転換という大謀略をはるかに上回る、国家の偽装解体・転換という人類史上初の大謀略であったために、西側は完璧に騙されてしまった。


西側は長い冷戦に勝利したのだと慢心し油断し理性的な分析を出来なくされて完全に騙されてしまったのである。ソ連-ロシアが流す心地よい「冷戦終結」の四文字魔語に心底から洗脳されてしまったのだ。西側は思想的に武装解除されてしまい、核戦力も通常戦力も化学戦力も大軍縮していくことになったのである。ソ連を完全に封じ込めていたパ-シングⅡ、トマホ-クGLCMも全て解体されてしまったし、SDIは中止となった。
 このような国家規模の謀略がなぜ可能なのか。なぜバレないのか。それはソ連=ロシアでは、ソ連共産党が国民を独裁支配しているからである。すなわち秘密警察KGBと内務省治安軍を使った国家テロルの恐怖によって、国民を骨の髄まで徹底的に支配しているからである。そして洗脳である。国民には一切の自由はなく、まさしく奴隷である。
 ソ連時代の国民にもいくらかの自由があるように見え、新生ロシアの国民には山ほどの自由が保障されているように見えるのは、ソ連共産党中央とKGBが党員や国民に命じて演技させているからなのである。国民は自由に外国人に会って話すことはできないのだ。この禁を犯せば家族全員の死が待っている。西側の人間は、専門家を含めてソ連=新生ロシアの実態を全く知らない。国家テロルの恐怖が国家の実態を闇に隠しているのである。

 二、謀略戦争を進めるロシア=ソ連

 ソ連共産党は、戦火を交えずに謀略で敵国を弱体化していくという最も有効な戦い方、謀略戦争(冷戦)を実行している。ソ連共産党は、国家を「民主主義と市場経済を志向する新生ロシア。だが経済も軍備もボロボロになってしまっている新生ロシア」に偽装して、西側との協調路線をとっている。西側を油断させて大軍縮させてしまうためである。ソ連は征服を狙う西側諸国に、自国(新生ロシア)を「協力関係にある国」だと信じ込ませてしまったのである。
 そして今ロシアは、START2(第二次戦略兵器削減条約)を批准し、CTBT(包括的核実験禁止条約)を批准して、「平和愛好国」のイメ-ジ(虚像)を創り上げて国際社会に自己宣伝し、かつ自由主義国内の反核団体(「NGO」などと言ってはならない。彼らのほとんどは客観的にはソ連や中国の手先の役割を担っている左翼侵略勢力である)をも使って、アメリカをはじめ自由主義諸国に〃平和〃攻撃をかけているのである。
 ロシアの狙いは、ロシアの侵略手段であるICBM、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を無効化するアメリカのNMD(アメリカ国土ミサイル防衛)システムを配備させないことである。またアメリカにCTBTを批准させることである。そうすればアメリカは自らの核兵器に対する信頼性を失っていくし、新型核兵器の開発ができなくなる。そしてまたSTART3やSTART4を締結して、アメリカの戦略核をより一層大削減させてしまうことである。ロシアはこれらの目標を、自らが創り上げる反核、核廃絶の国際〃世論〃の圧力を背景にして獲得しようとしているのである。
 ロシアは全体主義国家であり、国民は自由ゼロの奴隷である。そして洗脳されている。従ってロシアには国民世論や自由な報道は一片たりとも存在しない。KGBの国家テロルの恐怖支配があるから国家機関員の内部告発も存在しない。だからロシアの独裁者たち(ソ連共産党が変装している)は、密かに条約を破っていくことができるのである。ロシアにとっては二国間条約も国際条約も有名無実である。一方の自由主義国家は法の支配が原則であり、条約に拘束されてしまう。
 この国家の非対称があるから、ロシアの独裁者たちは核軍縮、核廃絶、NMD禁止を主張し、また各国左翼に主張させて、二国間条約や国際条約を締結しようとするのである。ロシアにとっては条約は謀略手段、戦争手段である。従って自由主義国家はロシアと軍縮交渉をしてはならないのである。
 もしもこれらの謀略戦争に勝利したならば、ロシアは戦略核戦力において対米絶対優位を確立することに成功することになる。ロシアは条約を無視することが可能だからだ。ロシアは今日においても通常戦力、化学戦力、生物兵器においては対西側絶対優位を確保している。だから、戦略核の絶対優位を勝ち取ったら、ロシアは偽装を止めソ連であることを公然と名乗って、一気に西欧、日本等を含む全ユーラシア大陸を征服する革命戦争=侵略戦争(熱戦)を開始していくことになるのだ。その時ソ連は、西側各国の左翼(=非国民たる侵略勢力)には革命戦争に呼応する内乱を呼びかけることになる。
 ソ連が侵略戦争を開始せんとしても、もはやアメリカは絶対優位にあるソ連の戦略核に逆抑止されてしまって、同盟国や友好国に核の傘をさし出すことが出来ず、ソ連は侵略を開始していくことになるのである。各国の左翼をも使って全ユーラシア大陸を征服し終えたならば、ソ連は続いて全世界の征服をめざしていくことになるのである。ソ連共産党はこうした二段階の世界征服戦略を堅持している。
 ソ連共産党や各国の共産党などの左翼が言う〃平和〃とは、自由主義諸国を亡ぼす革命戦争(非暴力形態でも戦われる)のことであり、共産党独裁支配体制を全世界に拡大することを意味しているのである。こういう用語法を「転倒語法」と言う。左翼の用語は〃自由〃であれ〃人権〃であれ〃平等〃であれ〃民主主義〃であれ、全て転倒語である。
 西側諸国は東西冷戦に勝利したのではない。冷戦は終わってはいない。ソ連=ロシアは謀略戦争という形の新たな冷戦を戦ってきているのである。そのことに気付かぬ西側は、時間の経過とともに確実に軍事的に弱体化させられて追い詰められていくから、冷戦に敗北したのは、また敗北し続けているのは西側なのである。我々がもしロシアの正体を見破ることができなければ、自由主義諸国は近い将来亡びることになってしまう!これらのテ-マについては既に「日本と自由主義諸国を滅ぼしてはならない-世界征服をめざすソ連=新生ロシアの謀略戦争-」(二月十五日記)などいくつかの文を書いた。参照してもらいたい。

 三、ロシア大統領選挙は芝居である

 我々は一日でも早く、ソ連共産党が西側を騙し油断させるために、国家をソ連からロシアへ偽装転換していることを見破らなくてはならない。ロシアに言わせれば、新生ロシアとはソ連の全体主義を否定した民主主義の国家である。だから独裁者たちはそのための芝居をしなければならないわけであるから、理性を持って冷静に観察し、分析評価していくならば、なされていることが芝居にすぎないことは判るのである。
 私は拙文「新生ロシアの正体」(二月二三日記)で昨年十二月のロシア下院選挙が芝居であると主張したが、この三月に行われたロシア大統領選挙もまた同断である。だが西側の人間は、ソ連は冷戦に敗れて崩壊し、民主主義と市場経済をめざすロシアが誕生したのだと洗脳されてしまっているから、理性が喪失し批判精神も無くなり、ただただロシア発の(嘘)情報を盲信してしまっている。民主的な選挙でプ-チンが民主国家ロシアの次期大統領に選出されたのだと信じ込んでいる。
 しかしロシア大統領選挙の実態を冷静に分析評価していくならば、「民主国家ロシア」は真っ赤な嘘だということが判る。そうすれば、九一年のソ連を解体して民主ロシアを樹立した革命も芝居であったと判る。国家の偽装倒壊であり、新生ロシアの正体はソ連であると判る。以下にロシア大統領選挙が芝居であることを明らかにしていこう。
 (1)開票日、プ-チンは未だ当選(五十%以上の得票率)が決まっていないにもかかわらず、そしてあと少し待てば結果は判明するにもかかわらず(一時間後に判明)、選挙対策本部を後にして帰宅してしまったのである。これは候補者のとるべき行動ではない。実際、西側自由主義国ではそんなことはありえない。当選するとの〃結果〃が事前に判っているから適当なところで帰宅してしまったのである。
 (2)当選決定の瞬間、プ-チンは居ないし、選挙対策本部の幹部も「特に祝杯はあげていない。プ-チン代行は明日も仕事が待っている」とコメントしただけであった。当選が決まった日のモスクワやサンクトペテルブルク等では、支援者たちが熱狂的に勝利を祝ったであろうか。否だ。マスコミのフィーバーはあったであろうか。否。大統領選挙があったことが嘘であるような静けさの中にモスクワはあったのである。西側の大統領選挙と比べて見れば異常さは歴然としている。ソ連時代の出来レ-スのソビエト選挙と全く同じなのである。ロシアの独裁者たち(ゴルバチョフがトップだ)はもはや、役人や様々な政党員や一般国民に正体を偽装しているソ連共産党員を動員して演技させるまでもなく、手抜き芝居でも西側を騙せるのだと自信を持っているのである。
 (3)プ-チンは、抽象的には述べたが具体的な政策を公約として掲げることをしなかった。政見放送も拒否していた。それらの理由としてプ-チンは「政治綱領はあることはあるが、政敵に攻撃材料を与えたり、まねされないように、公表しない」と称していたのである。こんなことは西側自由主義国ではおよそありえない。具体的政策を公約に掲げないということは、有権者に白紙委任を要求することである。自由主義国でそんなことをすれば、落選である。プ-チンがやったことはソ連時代の選挙と全く同じなのである。ロシア国民は奴隷なのだ。
 今になってもプ-チンは、具体的政策を明らかにしていない。なぜなのか。それは、芝居としてであれ自由主義的、民主主義的な政策を明らかにすれば、西側諸国にそれを利用されてけん制されることになるからである。
 (4)プ-チンは、ソ連時代はKGB第一総局で十六年間活動していた。その後、KGBが名前を変えただけのFSB長官も歴任した。そして(操作された)支持率が一桁台に落ちていたエリツィン大統領が後継者に指名した人物である。本当にロシアが、全体主義のソ連を打倒する革命によって誕生した民主国家であれば、不人気なエリツィンが指名した、悪の象徴であるKGB出身のプ-チンが当選できるわけがないのだ。ナチスドイツを否定した新生西ドイツの大統領選挙に、ナチス出身者(幹部)が立候補したらどうなのかと考えてみればよい。しかしロシアではプ-チンが大統領になるのである。
 ここから導き出される答えはひとつだ。ロシアとは、ソ連共産党・KGBが独裁支配しているソ連そのものであるということである。プ-チンの得票率五三%弱、ロシア共産党党首ジュガ-ノフの得票率三0%弱。両者合わせれば八三%弱の圧倒的多数に達する。これはまさにソ連そのものではないか。そもそもロシアの指導者層(政・官・軍・KGB・財)にはソ連時代の反体制派は一人も入っていない。全てソ連共産党員(出身者)だ。統一とかロシア共産党とかヤブロコなどの政党も全て、ソ連共産党の偽装なのである。
 もちろん、選挙結果はロシア国民の投票結果をそのまま表わしたものではない。選挙は巧妙に統制され、また数字は操作されたものである。プ-チンの得票率を何%位にするか、ジュガ-ノフのそれを何%位にするかはあらかじめ決められていたのである。
 (5)プ-チンは首相・大統領代行としてチェチェン戦争を戦った。プ-チンは「強いロシア」を体現したリ-ダ-として絶大なる人気を得たと言われている。それゆえに大統領に当選したのだという。これも(4)と同じで、本当にロシアが人道主義のカケラもない全体主義のソ連を倒して生まれた民主国家であれば、チェチェン戦争の仕方ゆえにプ-チンは逆に非難、糾弾されるはずだ。現に西側自由主義国は人道主義の立場からロシアのチェチェン戦争を非難しているのである。だがロシアではプ-チンが逆に圧倒的に支持されて大統領になるのである。ロシアが民主国家というのは真っ赤な嘘なのだ。
 以上の如く、ロシア大統領選挙の内実を冷静に分析評価すれば、民主国家の選挙としては矛盾だらけであることが判るはずである。芝居である。従ってロシアが全体主義のソ連を打倒して誕生した民主国家であるというのも真っ赤な嘘であり、だから、九一年の革命も芝居であって、新生ロシアとはソ連の偽装であるのだということが判るだろう。

 四、大統領就任式も謀略戦争の一環である

 三月二七日、プ-チンが当選の報告をエリツィンにしたところ、エリツィンは「これから国民が選挙中の君の公約を厳しくチェックすることになるから大変になるよ」と助言したと報じられていた。私はこれを読んで「白々しい!クソ!ソ連共産党奴!」と吐き捨てたのだが、人々はまんまと騙されてしまうのである。次にプ-チンの言動を拾ってみよう。
 五月六日、大統領の身分証明書授与式で、プ-チンは「国民が満足できる生活を実現するには民主的な国家機構を発展させることが必要だ」と強調したのだった。
 翌七日、プ-チンの大統領就任式が各国大使をも招いてクレムリンで大々的にとり行われた。プ-チンは「憲法を守り」「国民の権利と自由を守り」「国家の主権、独立、安全、一体性を守り、忠実に国民に奉仕することを誓う」との宣誓文を読み上げたのだった。就任演説では「ロシアの歴史の中で最高権力が初めて民主的に国民の意志に沿って継承された」「ロシアは国民が誇りを持ち、自由で豊かな文明国にならなければならない」と謳い上げたのである。



 なんと〃立派〃な言葉であることか。だがロシアではこれをそのまま信じる者は一人もいないのだ。ロシア人は「転倒語」として理解しているのである。ソ連人=ロシア人のエリ-トは嘘を平気でつける人種であり、いつも外国(人)を騙すことばかりを考えている人種なのである。彼らは大統領就任式での芝居を通じて各国大使をまんまと騙し洗脳していったのである。



 だが、冷静になって考えてもらいたい。ロシアでは電気工事、水道工事、ガス工事、電話工事、道路工事等々あらゆる公共サ-ビス・施設の工事は、何の予告も説明もなく突然開始されるのだ。多くの外国人が体験していることである。ましてや「ご迷惑をおかけしました」などのお詫びの言葉はありえない。列車や飛行機の便が突如大幅に遅れることになっても、「都合による」の一言で済まされ、説明やお詫びなどない。そして国民は文句を言うこともせず、ただひたすら黙って従うのである。
 これがロシアの真の姿なのである。ロシアの一般国民の地位なのだ。国家権力と一般国民との関係性だ。つまりロシア国民とは権利と自由を全否定されている奴隷なのである。国家権力に生殺与奪権を握られている奴隷なのである。

このような自由ゼロの国民=奴隷の国で自由選挙が実施されるはずがない。そしてこのような奴隷が「プ-チンの公約」をチェックすることができないのは自明だ。そんなことをすれば命がない。エリツィンは平然と嘘を述べたのだ。そしてプ-チンの宣誓文(四年前のエリツィンも同じ宣誓文であった)も就任演説も「転倒語法」なのである。ソビエト語=ロシア語は全て転倒語である。
 大統領就任式で真っ赤な嘘が語られても、ロシアにはそれを暴露し批判する報道機関は一つもない。「独立新聞」や「独立テレビ」とか様々な名称の反政権の報道機関があるが、それはロシアは民主国家であると西側を騙すために作ったものであり、本当は国家権力(つまりソ連共産党)が全ての報道機関、言論機関を支配しているのである。

そして外国の報道機関にその嘘を密告する一人の国民も現れない。KGBが完璧に隅々まで恐怖で支配しているからである。また洗脳されているからでもある。
 ロシアの政治社会の状態、ロシア国民の被支配状態はソ連の時と全く変わらないのである。ここから新生ロシアとソ連は同一であることが判るはずだ。九一年の革命は謀略の芝居であったのだと気がつくはずである。
 大統領就任式にはゴルバチョフ元ソ連大統領も出席したが、これが全てを象徴している。ソ連を打倒して誕生したロシアのはずだから、元ソ連大統領・元ソ連共産党書記長のゴルバチョフなど招いてはならないのに、ゴルバチョフは招かれたのである。つまりソ連=ロシアなのである。ロシアはソ連の偽装なのだ。ロシア(ソ連)の最高権力者はソ連共産党書記長のゴルバチョフであり、エリツィンやプ-チンをロシア大統領に就けたのもゴルバチョフである。

 五、経済混乱、社会混乱という芝居

 ロシア(ソ連)の支配者は、「強いロシア」(核戦力の強化など)を掲げつつも、その一方では経済混乱や社会混乱による国力・軍事力の大幅な低下が続いているという芝居を継続していくことになる。西側を油断させたままにしておくためと、西側から経済支援としてカネと技術を奪い取るためである。ロシアは西側に、西側の征服をめざすロシアの侵略力を強化するための経済支援をさせてしまうわけである。ロシアは笑いがとまらない。謀略戦争である。(核で日本を狙っている全体主義侵略国家の共産中国へのODA供与も全く同じものである。日本政府はいつまでこのような亡国外交を続けるのか)。
 ロシア発の情報によれば、ロシアでは新興財閥が国有財産を私物化し、また徴税を拒否してわが物顔に振舞っているとか、私兵を持ったマフィアがばっこして法と秩序もなくなっている、といわれている。それゆえ国家財政は危機となり、国防予算は大幅に削減されてロシアの軍備はボロボロになってしまった、といわれている。西側はこれを信じ込んでいる。情報戦争に敗北しているのである。
 こんなものは真っ赤な嘘で全て芝居だ。新興財閥だろうとマフィアだろうと、そんなものはKGBや内務省軍の前にはアリンコのような非力な存在だ。プ-チンは正規軍、内務省軍、KGBを使ってチェチェン戦争を断行しているのであるから、新興財閥やマフィアの違法行為などすぐに制圧できるのだ。


 プ-チンが大統領に当選した直後、ロシア海軍の原子力潜水艦がバレンツ海から、八千km先のカムチャッカ半島の軍事演習場へ向けてSLBM(非核)を発射して命中させている。その三時間後、今度はオホ-ツク海に潜む原潜がバレンツ海につき出たコラ半島の軍事演習場へ向けSLBMを発射して命中させた。これがロシア(ソ連)なのである。このデモンストレ-ションはプ-チンの力とロシアの核戦力をアメリカに示すためのものであり、その狙いはクリントン政権にNMDシステムの配備決定をさせないことにある。こういうことができるロシア政府が、新興財閥やマフィアに手を焼くなんて絶対にないのだ。すなわち西側を欺くための芝居なのである。
 だが西側は、ロシア高官が言っている、ロシアの新聞、テレビが報じているというだけでコロリと騙され洗脳されてしまう。頭が良い人も悪い人も、理性を失い批判精神を無くした状態では等しい存在であり、ロシアの支配者にいとも簡単に操られてしまうのである。ロシアの支配者たちは皆超一流のプロパガンディストである。嘘をもっともらしくプロパガンダする能力に秀でている


 新興財閥とはソ連共産党(国家)が所有する企業集団のことである。またマフィアとは、本物もいるが多くはソ連共産党とKGBが偽装しているものである。そして「マフィアによる暗殺」とは、KGBがロシア国家(ソ連共産党)の「法と秩序」に違反する者を非合法に処刑しているのである。
 ロシアの「法と秩序が崩壊する」状態とは、KGBも治安軍も正規軍もバラバラになって相争い、私欲を満たすために行動する状態だ。現実のロシアは全く違う。これらの暴力機関はソ連共産党によって完璧に統制されているのである。「法と秩序の崩壊」なるものは西側騙しの嘘プロパガンダなのだ。
 流される情報が嘘、謀略に満ちている以上、想像力を働らかせて、抽象的・論理的な思考をしていかなければ、ロシアの実態、正体をつきとめていくことはできない。ロシア(ソ連共産党)の側に立って考えることが必要なのである。
 


六、ロシアは米国を凌ぐ軍事大国である

 元陸上自衛隊教官の高井三郎氏が『軍事研究』九九年七月号で、「ソビエト体制が崩壊したとは言え、ロシアは依然、米国、中国を凌ぐ強大な軍事力を抱えていることは間違いない」と書いているが、全くそのとうりである。



 ところが多くの軍事評論家が、「ロシアの九九年度の国防費は日本円に換算すると約四000億円にすぎず、日本の防衛費四・九兆円の十分の一よりもはるかに少ない。ロシアの軍備はボロボロになっている」等々とKGB情報をそのままに主張したり、多くの経済評論家(経済学者ではない)が同様に、「ロシアのGDPは日本の二十数分の一にすぎないし、韓国のそれよりも小さい」等々と発言する。また何人もの有名な評論家が「ロシアは経済破綻して、この先数十年は脅威にならない」などと書く。こうした誤った主張ばかりがマスメディアに載るから、みんながそう信じることになってしまっているのである。ごく少数派の正論は存在すら抹殺されてしまう。
 敵(ロシア)の謀略戦争が成功するのは、主観は違っていても客観的には敵の代理人と等しい役割を果たす、こちら側の影響力ある人(有名人)の活動があるからである。ロシアは彼らを「協力者」として位置づけている。
 新聞によれば、二000年度のロシアの「国防費」は日本円に換算して約五五00億円、一般歳出は約三兆三五00億円、GDP見通しは約二一兆円だとされている。

だが元のル-ブルの数値がはじめから作為された数字であるし、またここには購買力平価を隠す為替レ-トのトリックがあるのである。なによりもロシアは意識的に為替レ-トの暴落を仕組んだ。そうするとドルや円で表示するロシアの国防費は実質価値の何十分の一かになってしまうわけである。


 為替レ-トのトリックとは次のことだ。ル-ブルのレ-トが暴落して円やドル換算で何十分の一になろうとも、ロシアの国防費(ル-ブル)の購買力は同じである。なぜならばロシアの軍備は全て国産であるからだ。為替レ-トは関係がないのだ。ロシアの国防費の比較は、物価水準
を基にした購買力平価でやらなくてはならないのである。


 ロシアの若い教員の月給は五00~七00ル-ブルだと新聞に出ていた。今これを正しい数字だとしよう。ル-ブルの為替レ-トは一ル-ブル約四円なので、二000円~二八00円となる。ロシアでは月給五00ル-ブルでギリギリでなんとか暮らせるとしよう。しかし日本では月二000円では言うまでもなく十倍の二万円でも暮らせない。月四万でギリギリなんとか暮らせるとしよう。すると購買力平価で測ると五00ル-ブルの購買力は日本における四万円の購買力と等しくなり、一ル-ブルは八0円となる。これがル-ブルの実質価値である。すなわち一ル-ブル4円の為替レ-トは購買力平価の二十分の一になっているのだ。
 だからロシアの国防費の実質価値=購買力は、円換算の場合には二十倍にしなければならず、五五00億円の二十倍で十一兆円に等しくなる。日本の二000年度の防衛費は約五兆円である。だがロシアの「軍事費」が十一兆円ぽっちであるわけがない。これっぽちではあの日本の何十倍もの兵器装備と兵員を維持できないからだ。

 ソ連時代の「国防費」とは、主として国防省の事務経費や兵隊の給与などのみであり、兵器の代金は全く含まれてなかったのである。西側に対して「軍事費」を小さく見せるためである。そして西側に隠されていたソ連の真の「軍事費」は「国防費」の十倍以上もあったのである(中川八洋筑波大学教授『ゴルバチョフの嘘』五九頁参照)。

ソ連時代、ICBM、SLBM等のミサイルは「一般機械制作省」(の予算)で造り、核弾頭、原潜の原子炉等は「中型機械省」で、弾薬、砲弾、化学砲弾等は「機械制作省」で、空母、巡洋艦、潜水艦等は「造船省」で、爆撃機、戦闘機等は

「航空工業省」で造っていた。「国防工業省」では戦車、大砲、小火器のみを担当していたのである(同教授『大侵略』二五二頁参照)。
 ソ連からロシアへの偽装に際して、西側の疑念を払拭するために多少の改善措置はなされただろうが、兵器生産の予算の全部が「国防費」に計上されるようになったと考えるのは余りにも幼稚すぎることである。多くの軍事費が巧妙に隠されているのだ。ロシアが世界最大の軍事大国なのである。

 七、平時の戦争に勝利しなければならない

 自由主義国家が亡ぶとすれば、全体主義国家による侵略戦争や、国内の敵である非国民の左翼による侵略(=革命)の成功、また両者の結合によってであるが、それ以前から武器を使わない侵略戦争はなされているのである。平時の侵略戦争である。

 平時の主要な戦争形態は、思想戦争・情報戦争であり、謀略戦争である。ロシア(や中国)は各国の左翼(共産党・マスメディアその他)を操るだけでなく、各国政府と保守言論界をもコントロ-ルして、西側国家を弱体化する平時の侵略戦争を戦っているのである。


「冷戦終結」「ロシアの経済的破綻」「反核」「核廃絶」「軍縮」「平和」「平等」「人権」「自由」等の謀略スロ-ガンはそのひとつである。
 自由主義国家の指導層(政・官・軍・言論・財)が、平時の敵の侵略戦争に敗北するならば、遠くない将来にロシアや中国等の軍事侵略と国内における革命を招いて国家は亡ぶことになる。

 六月上旬、米露首脳会談が予定されている。真正なエリ-トの方々には、ロシアの正体を伝えて、クリントン政権を誤りから覚醒させて頂きたい。人類の運命がかっているのである。アメリカは断固としてNMDシステムを配備し、核軍拡を推進せねばならない。西側自由主義国家の軍備(核)は正義であり、増強しなければならないが、全体主義侵略国家(ロシア、中国、北朝鮮、イラク等)の軍備は悪であり、全廃せねばならないのである。これが日本と自由世界の安全保障の真正な思想である。

                     二000年五月十三日記

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posted by 青田せいけん at 15:07| 大阪 ☁| 本当に怖い話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする